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研究テーマ

マルチメディア図書オーサリングシステム「ひまわり」

視覚障害者は今まで点字やカセットテープに録音したもので図書を利用してきた。しかし、カセットテープに録音したものは、テープが切れたり、古くなったり、市場で売られているものが粗悪になってきたり、利用が少なくなってきたこともあり、カセットテープに替わる録音図書としてデジタルを採用した「DAISY(Digital Accessible Information SYstem)」が生まれた。 DAISY規格は、ホームページのhtml規格で代表されるW3C(World Wide Web Consortium)の規格をベースとしていて、国際標準規格として広まってきており、この規格で作られる「DAISY録音図書」は、テキストと音声の同期が取られているため、視覚障害者や聴覚障害者でも楽しめるマルチメディア図書である。

しかし、DAISY録音図書を作成するには、ITに関してある程度の知識が求められる。この問題を受けて作られたのが、メールを使える程度のパソコンの知識で、容易にDAISY録音図書を作成できるデジタル録音図書作成システム「ひまわり」である。「ひまわり」は、ID用タグ付けシステム「こひまわり」と、マルチメディア図書オーサリングシステム「ひまわり」という2つのシステムから構成されている。「こひまわり」は同期をとるための基準となるIDをテキストに付加する事前準備のためのシステムであり、「ひまわり」は音声とテキストの同期を取り、「DAISY録音図書」に必要な音声やテキストそして画像データとの同期を制御するための SMILファイル、本の目次に相当するNCCファイル、XHTMLファイル、音声ファイルを生成するシステムである。

ひまわりは現在ver2.0が最新となっている。「ひまわりver2.0」では、「こひまわり」の機能によって、横書きだけでなく、縦書きの図書も作成できる。また、「ひまわり」の機能によって、DAISY録音図書だけでなく、RealPlayerとWindows Media Playerで再生可能な「ストリーミング図書」も生成することができる。
「ひまわり」の今後の課題としては主に以下があげられる。

  • 複数ページの図書を簡単に作成するための機能の追加
  • 音声編集をわかりやすくするために、音声波形のビジュアル情報を用いる
  • 動画対応可能なDAISY3.0に対応した図書の作成ができるようにする
  • QuickTime対応のストリーミング図書作成ができるようにする
  • 音声テキスト動画の3つのファイルを同期できるように機能を追加する

また、さらに利用しやすいものとするために、実際にシステムと作成した図書を多くの人に利用してもらい改善することが必要である。

<ひまわりに関する文献>
天野純子,「ユーザーフレンドリなマルチメディア図書オーサリングシステムの構築」、 神戸商科大学大学院修士課程論文、2003
篠原玲子・武内孝憲,「マルチメディア録音図書オーサリングシステム「ひまわりVer1.0」の拡張」、 神戸商科大学卒業論文、2004
SMIL(Synchronized Multimedia Integration Language): 個別に存在する動画、画像、静止画、音声、文字等の再生のタイミングや位置などを制御するための言語。W3C(WWWにおける標準化方針を検討・規定する非営利団体)により1998年XML1.0(Extensible Markup Language)を元に仕様が策定された。
NCC(Navigation Control Center): ユーザーがテキストと音声をシンクロしている間にファイル間をスムーズに移動することが出来るナビゲーション・コントロールファイル。見出しのことで、 ToCともいう。
ストリーミング図書: DAISY録音図書の閲覧には、一般には普及していない専用のブラウザ(LpPlayer等)が必要なため、現在一般的に普及している、ストリーミングというインターネットなどのネットワーク環境において、動画映像や音楽・音声のファイルをデータを受信しながら、同時に再生する技術を利用し、DAISY録音図書を閲覧した時と同じように動作する図書である。